早良病院 MSW 川端 静

1.当院について

 早良病院は、1914(大正3)年に炭鉱職員とその家族のために早良炭鉱附属診療所として開院したのが始まりです。その後、1950(昭和25)年に福岡市西区姪の浜に早良病院として再出発し、1974(昭和49)年現在地に病院を移転新築しました。

 株式会社サワライズを母体とした当院は、時代と共にかたちを変え、現在は地域医療を中心とした150床の病院として地域に根付いています。病棟は「一般病棟」「地域包括ケア病棟」「回復期リハビリテーション病棟」の3つの病棟を有しています。病棟毎に機能は異なりますが、病院全体として、急性期、回復期、慢性期まで幅広く対応できる体制となっています。

診療科は、「内科」「整形外科」「リハビリテーション科」「リウマチ・膠原病センター」を主体に、専門外来として「もの忘れ外来」「禁煙外来」「無呼吸症候群外来」を行っています。内科は、内科疾患を総合的に診療することに力を入れおり、専門医も多く在籍しています。また整形外科では、近年手術の件数も増え、股関節や脊椎の手術も行っています。

 

2.医療社会福祉部(医療相談室・地域連携室)

 当院の医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)は、医療相談室・地域連携室両方を兼ねた医療社会福祉部に所属しています。「相談にみえる方が、その人らしい生活をおくれるようにすること」を基本理念として業務に取り組んでいます。

MSWの業務は、前方・後方支援両方を担当しています。入院中や通院中の患者さん、ご家族からの相談業務や入院相談、地域医療機関や介護施設等との連携業務を受け持っています。入院患者さんにつきましては、全患者さんに介入し、担当MSWを決め、多職種で情報共有を行っています。外来患者さんにつきましても、地域連携室所属の看護師長と連携し、何かあった際にいつでも相談いただける体制を整えています。

また、昨年はコロナウイルス感染拡大の影響のため地域活動は行えませんでしたが、通常は公民館活動など地域での医療講話や健康相談などの企画・運営も行っています。クライエント支援だけでなく、病院の連携部門の要としての役割も担っています。

 

3.西区医療ソーシャルワーク研究会

 毎年県協会の地域勉強会支援の申請をさせていただいている西区医療ソーシャルワ-ク研究会についてご紹介させていただきます。

ソーシャルワークをすすめるにあたり〈車の車輪〉ともいえる、対人援助技術と社会資源について学習することを目的に、原則毎月第3金曜日の19時から1時間半程度の時間で開催しています。県協会にて理事を経験されていた先輩方が2007(平成19)年10月に研究会を開始し、2021年3月現在で154回目を迎えました。事例検討やグループワーク、専門職を講師に迎えての社会資源の講義など、内容は多種多様で気軽に参加出来る研究会として皆さんに参加いただいています。

 昨年度はコロナウイルス感染拡大の影響で、集まっての研究会を行うことは出来ませんでしたが、7月からZoomを使用したオンラインでの研究会を再開しました。コロナ禍より以前は、地域のMSWやケアマネージャー、行政職員、福祉用具専門員など毎回30名前後の参加者がいましたが、オンラインを使用した事で県外の方も気軽に参加出来るようになり、参加者や講師にお呼びする方の幅が広がりました。現在はフェイスブックでもお知らせを発信しているので、興味のある方は是非ご連絡ください。

 

4.さいごに

 MSWの力について継続的に発信し、礎を築いてきた先輩方のお陰で、当院では院長直属の部署として、医療相談室 MSWの役割が確立されています。だからこそ、「何かあったらMSWに相談」「最後の砦の相談室」として、様々な相談業務に関わっています。

 時間に追われてしまう事も多いですが、当院では、援助技術の基礎でもある「面接」を大事に、日々研鑽を積むことを忘れません。クライエントを「生活者」としてとらえ、敬意をもって「望む生活」を引き出す面接を行う事。クライエント自身が考え、自己決定できるように支援する事。そのことを忘れずに、今後も自己研鑽に努め、研修や学会へ参加していきたいと思います。

 

令和3年4月1日現在