独立行政法人 国立病院機構 福岡東医療センター MSW 十川 菜々子

当院は古賀市千鳥にある急性期病院です。2次医療圏である粕屋地区は、古賀市の1市と7町の範囲ですが、福津や宗像、遠賀、福岡市内からも来院されます。当院の診療科目は23科、病棟は13病棟、平均在院日数は13日です。現在は一般379床、結核38床、重症心身障害120床、感染症12床の計549床を有しています。今回は、救命救急センター、感染症センター、とびうめネット、そして地域医療連携室、がん相談支援センターの紹介をします。

1.救命救急センター

平成26年4月救命救急センターが開設されました。急性心筋梗塞や脳卒中、重度の外傷・熱傷などの重症および複数の診療科領域にわたるような「生命の危険に瀕した状況」にある重篤な救急患者を24時間体制で受け入れる3次救急を担う医療施設です。福岡ブロックでは福岡大学病院、済生会福岡病院、九州大学病院に次いで4番目の救命救急センターとなります。

当院では専用病床10床を備え、以前からあったICUに陰圧装置が整備された病室2床を増設しました。これにより重症感染症を合併した集中治療が必要な患者さんにも安全安心な医療を提供できるようになりました。

2.感染症センター

平成26年7月には感染症センターが開設されました。福岡市立こども病院の移転に伴い、同院に併設されていた感染症センターが閉鎖されることになり当院が第1種、第2種感染症指定医療機関となりました。第1種感染症病床が2床、第2種感染症病床が10床あります。

病室は2重扉になっており、室内の空気が外部に流出しないように気圧を低くしています。室内には、室外から食事などを提供するパスボックス、シャワー・トイレ、病棟につながるモニター付き電話などがあります。福岡県にエボラ出血熱の患者さんが発生した場合に備えて、防護服着脱の練習や他院との合同訓練を毎週実施しています。

3.とびうめネット

平成18年より粕屋北部在宅医療ネットワークが始まりました。医師会、消防署、行政と協力して緊急時に迅速で適切な医療を提供できるように支援するものです。在宅医療ネットワークに登録すると、かかりつけ医から希望された二次病院へ事前に患者さんの情報が送られます。消防隊は搬送する病院が決まっていること、病院は患者情報がすぐ分かり、救急対応がやりやすくなること、患者さんやご家族はスムーズに、安心して診察を受けることができる点がメリットです。

今後は、福岡県下で「とびうめネット」と名称を変えて拡大されます。これに伴い、当院連携室で行っていたデータ管理業務は福岡県メディカルセンターへ移行されました。また、救急受入れ二次病院が2病院から14病院へと拡大されました。

4.地域医療連携室・がん相談支援センター

この2つの部署は同じ部屋にあり、看護師長1名、看護師2名、事務職2名、MSW1名が勤務しています。4月からは、MSW1名増員予定でようやく仲間ができると大変嬉しく思っています。地域医療連携室では、前方支援、後方支援、医療相談などの業務を行っています。

また、当院は地域がん診療連携拠点病院の指定を受けています。昨年厚労省から「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」が出され、診療体制の強化や情報収集・提供体制の強化が盛り込まれました。当院では、昨年10月からがん患者・家族のための「ひまわりサロン」を毎月1回開催しています。最近はサロンの中で、ピアサポートについてミニ勉強会もしています。

先日、治療のことで悩み、今後について不安を抱えている患者さんが参加されました。初めはお話をしながら涙を流される場面がありましたが、周りの患者さんから優しく語りかけられ、最後は「元気をもらえました」と笑顔で帰られました。患者サロンに参加させていただくと、このような場面を目の当たりにし、ピア(仲間)の大切さを実感します。患者さん同士だからこそ分かり合えること、言葉1つ1つの持つ力の偉大さを知りました。

他にもひとりで悩んでいる患者さんがたくさんいるはず。現在は、乳がん患者さんが多いですが、がん種を絞らず、多くの患者さんに参加していただけるように広報活動に力を入れていきたいです。今後も、地域の皆様との連携を大切にしながら、より患者さんやご家族のお役にたてるような地域医療連携室、がん相談支援センターを目指していきます。

 

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福岡東医療センター

〒811-3195

福岡県古賀市千鳥1丁目1-1

電話:092-943-2331(代表)

 

平成27年7月