直方中村病院 MHSW 尾仲 裕二

1.当院について

 当院の前身である、直方保養院は1956年9月15日に福岡県の中央部筑豊地域である直方市頓野にて開設され、1991年6月25日に中村病院が医療法人化致しました。2008年4月1日に現在の病院名である『直方中村病院』に名称変更されました。現在、当法人では心療内科・精神科病院を標榜する『直方中村病院』、サービス付き高齢者向け住宅の『シニア住宅泰山木』、介護老人保健施設『すこやか』、障害福祉サービスの共同生活援助(グループホーム)『合歓の木』を運営しており、開設以来精神保健福祉・老人福祉の医療福祉トータルサポートを目指して、家庭的な環境で療養できる病院・施設づくりに取り組んでいます。

現在、医師は常勤3名、非常勤8名が在籍し診療を行っています。また、精神保健福祉士4名、臨床心理士1名というスタッフ体制の地域医療連携室が、患者様・ご家族に対する支援や、地域の関係機関との連携を図っています。当院は医師をはじめ、職員全員が得意分野を持ち、多くの方に適切で丁寧な対応が可能となるよう、不断に医療水準の向上に努めています。また、地域の保健医療福祉の一翼を担い、メンタルヘルスの専門機関として地域の皆様のすこやかな生活を支えていくことが当院の使命と考えております。

 

2.初回受診までの流れ

 当院の初回受診は予約制となっています。まずは患者様ご本人やご家族、関係者の方から電話で連絡をいただき、お困りの症状などを伺った上で診察の日時を決めます。初回受診当日は、必要に応じて臨床心理士や臨床検査技師による検査や、地域医療連携室の職員によるインテーク面接を行った後に医師の診察となります。これらの検査やインテーク面接には、まとまった時間を確保する必要があるため、初回の受診は予約が必要なのです。インテーク面接とは、医師の診察前の予備面接であり、「予診」とも言われます。初回の受診日は時間に余裕をもって来院してもらえるよう、皆様にはお願いしています。患者様の生育歴や病歴、生活環境や生活上の課題などを丁寧にお聞きして、初回の診察や今後の治療・支援に活かしていけるように心がけています。

 

3.地域医療連携室について

 当院の地域医療連携室では、上記のように初回の受診相談やインテーク面接、外来患者様の生活に合わせた社会資源の説明や利用支援、他院や施設など関係機関からの転院・入院の相談の受付、入院後のフォローや退院支援などを行っています。

 時代の変遷に伴って精神科病院をめぐる法令、特に精神保健福祉法は大きく変化している最中にあり、精神科病院での治療に関しても権利擁護の視点が必要不可欠なものとなっています。私どもの地域でも精神科病院入院者の長期入院が近年の大きな課題となっており、病院のみでなく地域のさまざまな関係機関との協力が長期入院患者の退院を促進し、新たな長期入院患者の増加を防ぐためには必要不可欠であると感じています。地域の関係者の皆様と連携を深めて社会資源を活用することで、患者様の地域での生活の幅を拡げていくことも権利擁護の重要な活動であると思っています。そのためにも、患者様1人ひとりに合ったより良い生活の実現のために自己研鑽を積み、研修や学習会にも参加していきたいと考えています。今後も、「奉仕の精神をもって自己の技能と良心をやめる方に捧げます」という当院の理念を遂行し、地域の皆様の力になれるよう精進いたしますので、直方中村病院をどうぞよろしくお願いいたします。